第33回日本腰痛学会(The 33rd Annual Meeting of the Japanese Society of Low Back Pain)

会期:2025年10月10日(金)・11日(土) 会場:富山国際会議場 会長:川口 善治(富山大学医学部整形外科学講座 教授 富山大学付属病院痛みセンター長)

会長挨拶

第33回日本腰痛学会の開催にあたって

会長

第33回日本腰痛学会
会長 川口 善治
富山大学医学部整形外科学講座 教授
富山大学附属病院痛みセンター長

このたび、第33回日本腰痛学会の会長を拝命いたしました富山大学医学部整形外科学講座教授兼、富山大学附属病院痛みセンター長の川口善治です。皆様方には、今回の会期を2025年10月10日(金)・11日(土)の2日間とさせていただきましたことを、ここにご報告申し上げます。富山での本会の開催は、大成清一郎会長による2002年第10回大会以来、23年ぶりとなります。富山での2度目の開催は、大変光栄なことと存じております。学会の関係各位の皆様には心より感謝申し上げます。是非とも多くの方々に富山にご参集いただきたく、スタッフが協力をして鋭意学会準備に励んでおります。

第33回日本腰痛学会のテーマは「腰痛診療の現在・過去・未来」とさせていただきました。厚生労働省が3年に1度公表している有訴者率のデータを見ますと、腰痛は様々な訴えの中で第1位であり、約10人に一人が愁訴を有するまさに国民病であります。その病態の解明および治療には、多くの先人の方々が長らく取り組んでこられました。その上に現在の診療体系があり、これは未来へと続くものとなります。本会は、現在の腰痛の診療体系を過去から遡り、未来へとつなげる1歩としたい、このような思いでテーマを決めさせていただきました。是非多方面からの腰痛診療についての議論を行えればと思っております。

特別講演としては、世界的に有名なインドGanga病院のRajasekaran教授にお願いしました。Raja教授はこれまで国際腰椎学会(ISSLS:International Society for the Study of the Lumbar Spine)の会長、AOSpineの会長など多くの役職を歴任されておられます。腰痛に関しては椎間板感染説、椎体終板障害説など非常にオリジナリティ溢れる発想で多くのデータを示しておられ、数々の国際学会賞を受けるなど腰痛研究分野の第一人者です。富山でのご講演にも是非ご期待頂ければ幸いです。

皆様が感じておられますように腰痛の治療は一筋縄ではいきません。関係する医師も整形外科のみならず多くの診療科が治療に携わっています。腰痛に精神的な関与を示唆するデータも多く報告されており、器質的病態へのアプローチのみでは解決できない場合が多くあります。さらに腰痛治療には理学療法士、看護師をはじめとするコメディカルの方たちの尽力もたいへん大きいものがあり、まさにmultidisciplinary(多くの学問領域にわたる)な知識と考え方が必要になると思っております。当施設でも毎月痛みカンファレンスを開催し、多くの診療科の医師、理学療法士、心理士、看護師、鍼灸師などそれぞれの立場から腰痛を有する患者様の実際の治療や患者様の腰痛の捉え方を議論しており、様々な観点からの新しい知識は、腰痛診療にたいへん参考になります。本会では医師だけでなく、多くのメディカルスタッフを交えた議論ができればと考え、プログラムを作成する予定です。また仙腸関節研究会(兼氏歩会長)とも協力して、本学会の中に第16回日本仙腸関節研究会を開催する予定です。

幸い、富山は首都圏からも近く、新幹線で約2時間、飛行機では約1時間でお越しいただけます。新幹線の福井県敦賀への延伸に伴い関西圏からのアクセスも便利になりました。学会場である富山国際会議場は富山駅から5分、富山空港から20分と町中に位置しており、非常にアクセスのよい場所です。富山駅からは地方都市ならではの路面電車も使えます。天気が良ければ東の方面に紅葉した壮大な立山連邦を見ることができます。10月は海の幸、山の幸、地酒も美味しくなる季節で、富山の美味をご堪能いただけるものと思っています。学会後にはお時間の許される先生には立山の散策もおすすめの時期です。中部山岳国立公園の紅葉が先生方の日頃の疲れを癒してくれることでしょう。参加される多くの方々に楽しんでいただけることを確信しております。

末筆になりますが、我々本会の担当者は日本腰痛学会のさらなる発展のために精一杯尽力する所存です。本会が盛会となりますよう皆様のご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。